大阪市中央区南船場 うさみ亭マツバヤ (旧:松葉家)
今回の「こころの名店、名品」訪問先は、きつねうどん発祥の地「うさみ亭マツバヤ」。
もとの名前は「大阪うどん 本舗松葉家」。創業明治26 年の老舗である。なにはともあれ「きつねうどん」を注文、本当に久しぶりに浪速伝統の味をいただいた。
松葉家を訪問したのは、以前私が広告プロダクションで担当していた、同じ大阪の老舗昆布店「小倉屋山本」の創業150 年記念誌である「なにわの昆布の物語」の発行にあたり、味の決め手である「出し」を上質なを北海道産真昆布で引くということから取材にお訪ねして以来のこと。
うどん作りにかける情熱、こだわりをお聞きし原稿にさせていただいたのはもう20 数年も前のことである。
松葉家にまつわるお話を先代の主人、宇佐美辰一から聞き書きした本がある。「きつねうどん口伝」である。
聞き書きされたのは三好広一郎氏、三好つや子さん。ちくま文庫から1998 年に刊行されているが、この三好氏は実は私の大学卒業後、入社した広告代理店時代の一年先輩のコピーライターである。
今はもう年賀状ほどのお付き合いしかないのだが、独立後、食文化を研究する「食の図書館」を主宰されていた。「食の図書館」の第一回遊食人種セミナーでの講演を宇佐美さんに依頼したことから、この本の発行に至ったことが最終の「聞き書きを終えて」という章に詳しく書かれている。
また松葉家は、かの小学館発行のロングセラー「美味しんぼ」の77 巻、日本全国味巡り大阪編でも取り上げられていて審査員の「洗練されていて、味も細やか」との評価とともに紹介されている。
お店も全く気取らず、庶民のお店という姿がうれしい。
これからもずっと応援していこう。